この記事の要点(30秒でわかる)
- 体重が減るとき、減るのは脂肪だけではありません。筋肉を含む「除脂肪量」も一緒に減ります
- 海外の総説では、治療中の除脂肪量の減少は平均6〜7kgと報告されています(個人差があります)
- ただしこれはマンジャロに特有の現象ではなく、急な減量に共通して起こることです
- 薬では守れず、運動でしか守れないのがこの部分だと考えられています
- 大切なのは始める時期。やめてからではなく、使っている間から始めた方が、中止後の戻りが少なかったという報告があります
「運動しなくても減るなら、それでいいのでは」——実際、体重は運動なしでも動きます。それでも運動の話をするのは、減った中身が問題になるためです。
減るのは脂肪だけではありません
体重が落ちるとき、体からは脂肪と除脂肪量(筋肉・水分・骨など、脂肪以外のすべて)の両方が減ります。これは薬を使うかどうかに関係なく起こります。
2026年の総説では、この系統の薬を使っている間の除脂肪量の減少は平均6〜7kg、あわせて骨密度の低下も報告されています。かなり大きな数字に見えると思います。
ただし、この薬に特有の話ではありません
ここは誤解されやすいところなので、はっきり書きます。
同じ2026年の総説では、除脂肪量が減る割合は、従来から使われてきた減量方法と同程度とされています。つまり「マンジャロを使うと筋肉が溶ける」のではなく、大きく速く減量すれば、どんな方法でも起こるということです。
ですので、これは薬をやめる理由にはなりません。対策をしながら続けるかどうか、という話です。
なぜ運動なのか
薬と運動では、体に起きることが違うと考えられています。
| 薬(食事量が減る) | 運動 | |
|---|---|---|
| 体重 | 減る | 大きくは減りにくい |
| 筋肉(除脂肪量) | 一緒に減る | 保たれやすい |
| 骨密度 | 下がる報告あり | 保たれやすい |
| 体力・持久力 | 変わらない | 上がりやすい |
体重を落とすのは薬が得意で、中身を守るのは運動が得意、という役割分担です。どちらかで代用できるものではありません。
いちばん大事なのは「いつ始めるか」
この記事でお伝えしたいのは、ここです。
「薬をやめてから運動を始めよう」と考える方が多いのですが、報告されているのは逆の順番です。薬を使っている間から運動を始めていた方のほうが、中止後の体重の戻りが少なく、減量が保たれ、1年後も身体活動が続いていたとされています。
やめたあとに立て直すより、使っている間に仕込んでおくほうが有利だということです。今が「まだ体重が落ちている時期」なら、それは運動を始めるのに遅い時期ではなく、むしろ適した時期です。
何をすればよいか
優先は「筋肉に負荷をかけること」
守りたいのが筋肉である以上、まず優先されるのは筋トレにあたる運動です。ジムでなくても構いません。スクワット、椅子からの立ち座り、壁腕立てなど、自宅でできるもので十分に始められます。
目安は週2〜3回、1回15〜20分程度から。毎日やる必要はありません。
歩く量は「増やせたら」で構いません
有酸素運動は体力や健康面に有用ですが、筋肉を守る目的では筋トレのほうが優先されます。時間が限られている場合は、まず筋トレを確保してください。
たんぱく質とセットで考える
運動しても、材料が足りなければ筋肉は保てません。食事量が減っている時期はとくに不足しやすいので、マンジャロ中の食事もあわせてご覧ください。
気をつけていただきたいこと
- 食べられていない日に、無理に運動しないでください。エネルギーが足りない状態での運動は、ふらつきや体調不良につながります
- 吐き気が強い時期は運動より体調を優先してください。始めるのは落ち着いてからで構いません
- 他の糖尿病治療薬を併用している方は、低血糖に注意が必要です。運動の前に医師にご相談ください
- 心臓・膝・腰などに持病がある方は、始める前にご相談ください
- 体重を早く落とすために運動を足す、という使い方はおすすめしません。減るペースが速いほど、守りたいものが減ります
よくあるご質問
運動しないと効果は出ませんか?
体重の変化は運動なしでも起こります。運動の目的は「減らすこと」ではなく「減り方の中身を整えること」です。効果の出方には個人差がありますので、まずは続けられる範囲から始めてください。
筋肉が6〜7kgも減るのは危なくないですか?
海外の報告の平均値であり、減量の大きさによって幅があります。また同じ報告のなかで、減る割合は従来の減量方法と同程度とされています。心配な点は診察でお伝えください。
どんな運動でもいいですか?
筋肉を守る目的であれば、筋肉に負荷がかかる運動が優先されます。ウォーキングだけでは筋肉の維持には物足りないことがあります。ただし「何もしない」よりは有益ですので、続けやすいものから始めてください。
プロテインは飲んだほうがいいですか?
食事からたんぱく質を確保するのが基本です。食事量が減って足りない場合の補助としては選択肢になります。腎臓に持病がある方は自己判断で増やさず、事前にご相談ください。
体力が落ちて動けません
食事量が減りすぎている可能性があります。運動を足すより先に、食べられているかの確認が必要です。減るペースが速すぎる場合は用量の調整も検討できますので、ご連絡ください。
やめたあとから始めても間に合いますか?
始めないよりは有益です。ただし報告されているのは「使っている間から始めていた場合」の結果です。今まだ使用中であれば、この時期に始めておくほうが有利だと考えられます。
ご検討の前に必ずお読みください
- マンジャロ(チルゼパチド)は、国内では2型糖尿病の治療薬として承認されている医薬品です。体重管理を目的とした使用は、承認された効能・効果ではない適応外使用にあたります。
- 体重管理目的の処方は自由診療(保険適用外)で、全額自己負担となります。
- 当院では国内正規流通品を、提携薬局を通じてお届けします。
- 本ページで紹介している数値は海外の報告にもとづく平均値であり、日本人を対象としたものとは限りません。運動の内容は個々の体力・持病により異なります。持病のある方は開始前に医師にご相談ください。
- 吐き気・便秘・下痢などの消化器症状のほか、まれに急性膵炎・胆のう関連症状などの重大な副作用のリスクがあります。体調に異変を感じた場合は速やかにご相談ください。
- 効果・副作用の出方には個人差があり、結果を保証するものではありません。食事・運動などの生活習慣との併用が前提です。
- 諸外国では、体重管理を目的とした同成分(チルゼパチド)の医薬品が承認されています。
- オンライン診療の結果、医師が適切でないと判断した場合は処方できないことがあります。
あわせて読みたい
続け方も、やめ方も、ご相談いただけます
どのくらいのペースで減らすか、いつから運動を足すかは、体調やご事情によって変わります。運動が難しい時期であれば、無理に足さない選択もあります。診察でお聞かせください。無理な勧誘はいたしません。
参考文献
- マンジャロ皮下注アテオス 添付文書(日本イーライリリー株式会社)/PMDA 医療用医薬品 情報検索
- Zeigler Z, Havenar J, Smith E, et al. Structured Exercise During and After Incretin-Based Pharmacotherapy Discontinuation. Healthcare (Basel). 2026;14(15):2345.(PubMed)
- Bijoch J. Anti-Obesity Medications in Longevity and Aesthetic Medicine. J Clin Med. 2026;15(15):6026.(PubMed)
- Aronne LJ, Sattar N, Horn DB, et al. Continued Treatment With Tirzepatide for Maintenance of Weight Reduction (SURMOUNT-4). JAMA. 2024;331(1):38-48.(PubMed)

