この記事の要点(30秒でわかる)
- 体重の数字は直線的には減りません。数週間動かない時期があるのは珍しいことではありません
- よくある理由は用量がまだ少ない・期間が短い・摂取エネルギーが減っていない・活動量が落ちた・体重以外が変化しているの5つです
- 臨床試験でも変化の幅には大きな個人差が報告されています。平均値どおりに減る方ばかりではありません
- 自己判断で用量を増やすことはできません。見直しは医師にご相談ください
- 体重以外に変化が隠れていることもあります。測り方と見方を変えるだけで判断が変わることがあります
「始めて1ヶ月経つのに体重が変わらない」「最初は減ったのに止まってしまった」——マンジャロ(一般名:チルゼパチド)を使っている方から、実際によくいただくご相談です。このページでは、体重が思うように動かないときに考えられる理由を整理し、次に何を確認すればよいかをご説明します。
まず知っておきたいこと|体重は直線では減らない
体重は毎日1〜2kgの範囲で自然に上下します。食事の量、水分、塩分、排便、女性の場合は月経周期など、脂肪の量とは関係のない要因で動くためです。
そのため、数日〜数週間まったく動かないように見える時期があるのは、ごく普通のことです。臨床試験でも、体重は最初の数週間はゆるやかに動き、その後の数か月をかけて変化していく経過が報告されています。1ヶ月で結論を出すには、期間が短すぎることが多いのです。
考えられる5つの理由
1. 用量がまだ導入段階である
マンジャロは2.5mgから始め、体調をみながら段階的に用量を上げていきます。この2.5mgは体を薬に慣らすための導入用量という位置づけで、体重の変化を目的とした用量ではありません。
日本人を含むアジアの参加者を対象としたSURMOUNT-J試験でも、評価に用いられたのは10mgと15mgでした。導入段階で変化が乏しいことは想定の範囲内です。焦らず、医師と相談しながら進めてください。
2. まだ期間が短い
臨床試験で体重の変化が評価されているのは、多くが72週(約1年半)という長さです。数週間や1〜2ヶ月の時点は、まだ経過の入口にあたります。
3. 摂取エネルギーが減っていない
これが実際には最も多い理由です。食欲が落ちても、食べているものが変わらなければ、摂取エネルギーは減りません。
とくに起こりやすいのが次のパターンです。
- 食事の量は減ったが、間食や甘い飲み物が増えた
- 食欲が落ちた分、食べやすいもの(麺類・パン・お菓子)に偏った
- 食事を抜いた反動で、1食の量が増えた
- お酒の量が変わっていない
食欲が落ちること自体は薬の働きですが、その先で何を食べるかは薬では決まりません。ここが、薬だけでは体重が管理できないと言われる理由です。
4. 活動量・筋肉量が落ちている
食事量が減ると、体が消費するエネルギーも下がりやすくなります。またタンパク質の摂取が不足すると筋肉量が減り、基礎代謝がさらに下がることがあります。「食べていないのに減らない」という状態の背景には、これが関わっていることがあります。
食事量を減らすときほど、タンパク質を確保し、体を動かす機会を維持することが大切とされています。
5. 体重以外のところが変化している
体重が同じでも、体の中身が変わっていることがあります。ウエストが緩くなった、服のサイズが変わった、顔まわりがすっきりしたという変化は、体重計には表れにくいものです。
また、甲状腺の病気や服用中のお薬など、体重に影響する別の要因が隠れていることもあります。心当たりがある場合は医師にお伝えください。
確認するポイントを表で整理
| 確認すること | 目安 | 当てはまるときは |
|---|---|---|
| 使い始めてどれくらいか | 1〜2ヶ月以内 | まだ判断が早い段階です |
| 今の用量 | 2.5mg | 導入用量です。増量は医師が判断します |
| 体重の見方 | 毎日/一時点だけ | 週単位の平均で見てください |
| 間食・飲み物 | 増えている | まずここを見直してください |
| タンパク質 | 不足している | 食事量を減らすほど重要になります |
| 体重以外の変化 | ウエスト・服のサイズ | 変化が出ていることがあります |
| 打ち忘れ | ある | 医師にお伝えください |
やってはいけないこと
- 自己判断で用量を増やす/マンジャロは用量ごとに製剤が分かれており、指示と異なる使い方は安全性が確認されていません。副作用が強く出る危険があります
- 自己判断で回数を増やす/週1回の薬です。間隔を詰めることはできません
- 極端に食事を抜く/筋肉量が落ち、かえって減りにくい体の状態になることがあります
- 黙って中断する/中止後に体重が戻る可能性が報告されています。やめる場合も医師にご相談ください
体重の測り方・見方を変えてみる
- 毎日同じ条件で測る/起床後、トイレを済ませたあと、同じ服装で
- 1日の数字ではなく、週の平均で見る/日々の上下に振り回されなくなります
- ウエストも記録する/体重が動かない時期でも変化が見えることがあります
- グラフにする/数字の羅列より傾向がつかみやすくなります
「減っていない」と感じていた方が、週平均のグラフにしてみたら緩やかに下がっていた、というのはよくあることです。
よくあるご質問
1ヶ月使っても変化がありません。効いていないのでしょうか?
1ヶ月時点、とくに導入用量の段階では、体重の数字が動きにくいことは珍しくありません。臨床試験の評価も長い期間で行われています。ただし、そのまま続けるか用量を調整するかは体調にもよりますので、経過を医師にご相談ください。
最初は減ったのに、途中で止まりました。
体重の変化は一定のペースでは進まず、動かない時期を挟むことがあります。この時期に食事内容が戻っていないか、活動量が落ちていないかを確認してみてください。それでも長く動かない場合は、用量を含めて医師と見直しましょう。
用量を上げれば減りますか?
臨床試験では用量が多いほど体重の変化が大きい傾向が報告されていますが、同時に副作用も出やすくなります。上げれば必ず減るというものでもありません。増量できるかどうかは、体調と経過をみて医師が判断します。自己判断ではできません。
食欲が落ちた実感がありません。
感じ方には大きな個人差があり、「明らかに変わった」という方もいれば「あまり変わらない」という方もいらっしゃいます。導入用量の段階では実感が乏しいこともあります。経過を医師にお伝えください。
続けるかどうか迷っています。
続ける・用量を見直す・やめる、いずれの選択肢もあります。ただし中止後に体重が戻る可能性が報告されているため、やめ方も含めて相談されることをおすすめします。無理におすすめすることはありません。
ご検討の前に必ずお読みください
- マンジャロ(チルゼパチド)は、国内では2型糖尿病の治療薬として承認されている医薬品です。体重管理を目的とした使用は、承認された効能・効果ではない適応外使用にあたります。
- 体重管理目的の処方は自由診療(保険適用外)で、全額自己負担となります。
- 当院では国内正規流通品を、提携薬局を通じてお届けします。
- 吐き気・便秘・下痢などの消化器症状のほか、まれに急性膵炎・胆のう関連症状などの重大な副作用のリスクがあります。体調に異変を感じた場合は速やかにご相談ください。
- 効果・副作用の出方には個人差があり、結果を保証するものではありません。食事・運動などの生活習慣との併用が前提です。
- 本記事で紹介した臨床試験は対象者の条件が限られており、結果がそのまますべての方に当てはまるものではありません。
- 諸外国では、体重管理を目的とした同成分(チルゼパチド)の医薬品が承認されています。
- オンライン診療の結果、医師が適切でないと判断した場合は処方できないことがあります。
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一人で判断せず、経過を一緒に確認しましょう
思うように変化が出ないとき、続けるべきか、見直すべきかの判断は難しいものです。経過を医師と一緒に確認することで、次にやることがはっきりします。オンライン診療なら、移動の負担なくご相談いただけます。無理な勧誘はいたしません。
参考文献
- Kadowaki T, Isendahl J, Khalid U, et al. Efficacy and safety of once-weekly tirzepatide in Japanese patients with obesity disease (SURMOUNT-J). Lancet Diabetes Endocrinol. 2025;13(5):384-396.(PubMed)
- Jastreboff AM, Aronne LJ, Ahmad NN, et al. Tirzepatide Once Weekly for the Treatment of Obesity (SURMOUNT-1). N Engl J Med. 2022;387(3):205-216.(PubMed)
- マンジャロ皮下注アテオス 添付文書(日本イーライリリー株式会社)/PMDA 医療用医薬品 情報検索

