この記事の要点(30秒でわかる)
- 筋肉は落ちます。ただしこれは、マンジャロだからではなく「痩せること」そのものに起きる変化です
- 体の中身を測った研究では、減った体重のうち約75%が脂肪、約25%がそれ以外でした
- この割合は、薬を使わず食事と運動だけで痩せた人とほぼ同じです
- 筋トレを足した人では、脂肪以外が減る割合が17.5%まで下がりました。いちばん良い結果です
- つまり「筋肉が落ちるから薬をやめる」ではなく「筋トレとたんぱく質を足す」のが答えになります
「マンジャロを使うと筋肉まで落ちるらしい」よく見かける話です。結論からいうと、落ちます。ただし「だから危ない」で終わる話ではありません。何が、どのくらい、なぜ減るのかを、むずかしい言葉を使わずにご説明します。
減った体重の中身は「脂肪75%・それ以外25%」
体重が減ったとき、減ったのが脂肪なのか、それ以外なのかを専用の装置で測った研究があります。160人が参加し、始める前と72週間後(約1年4か月後)に測っています。
| マンジャロと同じ成分 | 薬が入っていない注射 | |
|---|---|---|
| 体重 | −21.3% | −5.3% |
| 脂肪 | −33.9% | −8.2% |
| 脂肪以外 | −10.9% | −2.6% |
この研究のいちばん大事な結果はここです。
減った体重のうち、およそ75%が脂肪、およそ25%がそれ以外でした。
そしてこの割合は、薬を使ったグループでも、薬が入っていない注射のグループでも同じだったのです。
たとえば体重が20kg減ったとしたら、約15kgが脂肪、約5kgがそれ以外という計算になります。
「脂肪以外」は、全部が筋肉ではありません
ここは誤解されやすいところです。「脂肪以外」に含まれるのは筋肉だけではありません。
- 筋肉
- 水分
- 骨
- 内臓
体重が減るとき、体にたくわえていた水分もかなり減ります。とくに始めたばかりの時期は、水分の減りが大きく出ます。「脂肪以外が5kg減った=筋肉が5kg減った」ではありません。
薬を使わなくても、同じくらい落ちています
これまでの研究をまとめて計算し直した、20の研究・15,782人分の報告があります。ここでは「減った体重のうち、脂肪以外が何%だったか」を比べています。
| 方法 | 脂肪以外の割合 |
|---|---|
| セマグルチド(オゼンピック等と同じ成分) | 35.2% |
| チルゼパチド(マンジャロと同じ成分) | 25.4% |
| リラグルチド | 26.8% |
| 食事と運動だけ(薬なし) | 26.2% |
| 食事と運動+筋トレ | 17.5% |
この表から分かることは2つあります。
- チルゼパチド(25.4%)は、食事と運動だけ(26.2%)とほとんど変わりません。統計的にも差はありませんでした
- 筋トレを足したグループだけが、17.5%とはっきり低い。いちばん良い結果です
つまり「マンジャロだから筋肉が落ちる」のではなく、「体重が減れば、どんな方法でも一定の割合で落ちる」ということです。そしてそれを減らす方法もはっきりしています。
筋肉を守るために、できること
① 筋トレを足す
研究で唯一はっきり結果が変わったのがこれです。ジムに通う必要はありません。スクワット、腕立て、かかと上げなど、自分の体重を使う運動で構いません。週に2回ほどを目安に、続けられる形から始めてください。
詳しくはマンジャロ中の運動でご説明しています。
② たんぱく質を毎食に入れる
マンジャロを使うと食欲が落ちるため、食べる量そのものが減ります。そのとき、まず削られやすいのが肉・魚・卵といったたんぱく質です。
量が食べられないときほど、何を先に食べるかが大事になります。肉・魚・卵・大豆製品・乳製品を、毎食のはじめに少しでも入れてください。
※腎臓の病気がある方は、たんぱく質の量に制限がある場合があります。自己判断で増やさず、主治医にご確認ください。
③ 減らしすぎない
短い期間で一気に落とすほど、脂肪以外も一緒に減りやすくなります。「早く減らしたいから食べない」は逆効果です。
④ 体重計の数字だけを見ない
体重だけを追いかけると、中身が分かりません。次のような点も一緒に見てください。
- 階段をのぼるときに前よりつらくないか
- 荷物を持ち上げる力が落ちていないか
- ふらつきや疲れやすさが増えていないか
これらが気になる場合は、減らし方を見直す合図です。診察でお知らせください。
ご相談いただきたいとき
- 立ち上がるとき、階段をのぼるときにはっきり力が入らなくなった
- ふらつく、転びそうになることが増えた
- 食事がほとんど入らない状態が1週間以上続いている
- 体重が短い期間に急に落ちている
これらは、減らし方が体に合っていないサインのことがあります。お薬を続けるかどうかも含めて、一緒に考えます。ご自分の判断で量を増やしたり、食事をさらに減らしたりしないでください。
よくあるご質問
マンジャロで筋肉は落ちますか?
落ちます。ただしこれはマンジャロに限った話ではなく、体重が減るときに起こる変化です。研究では、減った体重のうち約25%が脂肪以外でしたが、これは食事と運動だけで痩せた場合(約26%)とほぼ同じ割合でした。
「脂肪以外が減った」=筋肉が減ったということですか?
いいえ。「脂肪以外」には筋肉のほか、水分・骨・内臓が含まれます。とくに始めたばかりの時期は水分の減りが大きく出ます。全部が筋肉というわけではありません。
筋肉を落とさない方法はありますか?
ゼロにはできませんが、減らすことはできます。研究では、筋トレを組み合わせたグループで、脂肪以外が減る割合が17.5%まで下がりました。たんぱく質をしっかりとること、急に減らしすぎないことも大切です。
どんな筋トレをすればいいですか?
自分の体重を使う運動で構いません。スクワット、腕立て、かかと上げなどを週2回ほど。ジムに通う必要はありません。持病がある方や、運動を止められている方は、先に主治医にご確認ください。
食欲がなくて、たんぱく質まで食べられません
量が食べられないときほど、食べる順番が大事になります。肉・魚・卵・大豆製品・乳製品を、食事のはじめに少しでも入れてみてください。それでもほとんど入らない状態が続く場合は、量の見直しが必要なことがあります。ご相談ください。
やめれば筋肉は戻りますか?
運動と食事しだいです。体重が戻るときに、脂肪のほうが先に戻りやすいことが知られています。やめること自体を目的にせず、筋トレとたんぱく質を続けることのほうが現実的です。
ご検討の前に必ずお読みください
- マンジャロ(チルゼパチド)は、国内では2型糖尿病の治療薬として承認されている医薬品です。体重管理を目的とした使用は、承認された効能・効果ではない適応外使用にあたります。
- 本ページで紹介した研究は、肥満症の治療として行われたものです。同じ成分(チルゼパチド)を使った肥満症の薬「ゼップバウンド」が国内で承認されており、条件を満たす場合は保険が使えます。
- 体重管理目的でのマンジャロの処方は自由診療(保険適用外)で、全額自己負担となります。
- 紹介した数字は研究の結果であり、当院での結果や、お一人おひとりの結果を約束するものではありません。個人差があります。
- 当院では国内正規流通品を、提携薬局を通じてお届けします。
- 吐き気・便秘・下痢などのお腹の症状のほか、まれに急性膵炎・胆のうの病気などの重い副作用が起きることがあります。体調に変化を感じた場合はすぐにご相談ください。
- 食事・運動などの生活習慣の見直しと一緒に行うことが前提です。
- 持病のある方は、運動やたんぱく質の量について、先に主治医にご確認ください。
- オンライン診療の結果、医師が適切でないと判断した場合はお薬をお出しできないことがあります。
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減らし方まで含めて、ご相談ください
体重を減らすことと、体を弱らせないことは、両立できます。「どのくらいのペースで減らすか」「何を食べるか」「どう動くか」まで含めて、診察でご一緒に考えます。力が入りにくい、ふらつくといった変化があれば、遠慮なくお知らせください。無理な勧誘はいたしません。
参考文献
- Look M, et al. Body composition changes during weight reduction with tirzepatide in the SURMOUNT-1 study of adults with obesity or overweight. Diabetes Obes Metab. 2025;27:2720-2729.(PubMed)
- Eisa M, et al. Lean Mass Changes With Incretin Therapy Versus Lifestyle Intervention: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomised Controlled Trials. Diabetes Obes Metab. 2026;28:4818-4827.(PubMed)
- マンジャロ皮下注アテオス 添付文書(日本イーライリリー株式会社)/PMDA くすり情報(マンジャロ皮下注アテオス 全6規格・一般の方向け)

