この記事の要点(30秒でわかる)
- 最大の違いは作用する受容体の数。マンジャロはGIPとGLP-1の2つ、オゼンピックはGLP-1の1つに作用します
- どちらも週1回の皮下注射。デバイスの形と使い方が異なります
- 日本ではどちらも2型糖尿病の治療薬として承認されており、体重管理目的の使用は適応外使用・自由診療です
- 海外の直接比較試験では体重の変化に差が報告されていますが、副作用の出方や続けやすさは人によって異なり、優劣を一律に決められるものではありません
- どちらが合うかは、既往歴・体質・生活スタイルを踏まえて医師が診察で判断します
「マンジャロとオゼンピック、どちらがいいのか」は、体重管理を検討される方から最も多くいただく質問のひとつです。この2つは名前が並んで語られることが多いものの、作用の仕組みも、承認されている効能も、使い方も異なります。このページでは両者の違いを事実ベースで整理し、選ぶときに何を基準に考えればよいかをご説明します。
まず結論|違いは「作用する受容体の数」
マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は、GIPとGLP-1という2つの消化管ホルモンの受容体に作用する「GIP/GLP-1受容体作動薬」です。
オゼンピック(一般名:セマグルチド)は、GLP-1受容体に作用する「GLP-1受容体作動薬」です。
つまりオゼンピックが「1本の鍵で1つの鍵穴を開ける」薬だとすると、マンジャロは「2本の鍵で2つの鍵穴を開ける」薬にあたります。この設計の違いが、体の反応の違いにつながっていると考えられています。
比較表|マンジャロとオゼンピックの違い
| 項目 | マンジャロ | オゼンピック |
|---|---|---|
| 一般名 | チルゼパチド | セマグルチド |
| 分類 | GIP/GLP-1受容体作動薬 | GLP-1受容体作動薬 |
| 作用する受容体 | GIP+GLP-1(2つ) | GLP-1(1つ) |
| 投与方法 | 週1回・皮下注射 | 週1回・皮下注射 |
| デバイス | 使い切り型(針の取り付け不要) | ペン型(毎回、針を装着) |
| 用量の段階 | 2.5/5/7.5/10/12.5/15mg | 0.25/0.5/1.0mg(国内) |
| 国内での承認 | 2型糖尿病 | 2型糖尿病 |
| 体重管理目的の使用 | 適応外使用・自由診療 | 適応外使用・自由診療 |
| 開発企業 | イーライリリー | ノボ ノルディスク ファーマ |
※用量の刻みや取扱い製剤は変更されることがあります。診察時に最新の情報をご確認ください。
作用のしくみの違いを、もう少し詳しく
GLP-1が担っている働き
GLP-1は、食事をとると小腸から分泌されるホルモンです。血糖が高いときにインスリンの分泌を促す、胃の動きをゆっくりにする、脳に働きかけて満腹感に関わる——といった働きが知られています。オゼンピックはこのGLP-1受容体に作用します。
マンジャロが加えて作用するGIP
GIPもまた食事に応じて分泌される消化管ホルモンで、インスリン分泌や脂肪組織のエネルギー代謝への関与が報告されています。マンジャロはGLP-1受容体に加えてこのGIP受容体にも作用します。2つの経路に同時に働きかける点が、この薬の設計上の特徴とされています。
ただし、「2つに作用するから必ず良い」という単純な話ではありません。作用が増えれば体への影響も変わり、副作用の感じ方も人によって異なります。
直接比較した試験では何が報告されているか
この2剤を直接比べた臨床試験として、海外で実施されたSURMOUNT-5試験(Aronne LJ ほか、New England Journal of Medicine 誌 2025年)があります。糖尿病のない肥満症の成人751名を対象に、72週間にわたって、それぞれその方が使える上限の用量(チルゼパチドは10mgまたは15mg、セマグルチドは1.7mgまたは2.4mg)で比較したものです。
| グループ | 体重の変化(平均) |
|---|---|
| チルゼパチド(10mgまたは15mg) | −20.2% |
| セマグルチド(1.7mgまたは2.4mg) | −13.7% |
この結果を読むうえで、次の点をあわせて押さえておく必要があります。
- セマグルチドの2.4mgは海外で肥満症治療薬として承認されている用量で、日本のオゼンピック(2型糖尿病用)の用量とは異なります
- 参加者は糖尿病のない肥満症の方に限られており、条件が限定されています
- 平均値であり、個々の結果には大きなばらつきがあります
- 体重の数字は評価軸の一つにすぎず、副作用の出方や続けやすさは別に考える必要があります
つまり、この試験結果は「平均としてこう報告された」という事実であって、「あなたにとってどちらが良いか」の答えではありません。実際に、吐き気が強く出て続けられなかった方が、もう一方の薬なら問題なく続けられたというケースもあります。
選ぶときに考える4つの軸
1. 体質・既往歴
膵炎の既往、胃腸の状態、甲状腺の病歴、服用中のお薬などによって、適さない場合があります。ここが最も優先される判断材料です。
2. 副作用の出方
吐き気・便秘・下痢などの消化器症状は両剤に共通しますが、感じ方には個人差があります。片方で強く出た方が、もう片方では落ち着いたという例もあります。
3. 続けられる費用かどうか
自由診療のため全額自己負担です。体重管理は数か月から年単位で取り組むことが多く、無理なく続けられる金額かどうかは実際には非常に大きな判断材料になります。途中で中断すると体重が戻る可能性が報告されているため、始める前に見通しを立てておくことをおすすめします。
4. 使い勝手
どちらも週1回の注射ですが、マンジャロは針の取り付けが不要な使い切り型、オゼンピックは毎回針を装着するペン型です。針を扱う操作に抵抗がある方は、この違いが続けやすさに影響することがあります。
両方に共通する注意点
- 吐き気・嘔吐・下痢・便秘などの消化器症状が起こることがあります(開始時・増量時に多い傾向)
- まれに急性膵炎、胆のう関連の症状など重大な副作用の報告があります
- 妊娠中・授乳中・妊娠を計画している方は使用できません
- いずれも医師の処方が必要な医療用医薬品です。個人輸入サイトやフリマアプリでの入手は、偽造品・不適切な保管・健康被害のリスクがあり危険です
- 薬だけで体重が変わるものではなく、食事・運動の見直しとの併用が前提です
よくあるご質問
結局、どちらのほうが優れているのですか?
一律にどちらが優れているとは言えません。海外の直接比較試験では体重の変化に差が報告されていますが、それは平均値であり、副作用の出方・続けやすさ・体質との相性は人によって異なります。ご自身に合うかどうかは、既往歴やご希望を伺ったうえで医師が判断します。
どちらも保険は使えますか?
体重管理を目的とした使用は、どちらも承認された効能・効果ではない適応外使用にあたるため、公的医療保険は適用されません。自由診療となり全額自己負担です。
途中で切り替えることはできますか?
副作用が強い場合など、医師の判断で見直すことはあります。ただし薬剤も用量の刻みも異なるため、自己判断での切り替えはできません。必ず診察のうえでご相談ください。
自分で選んで購入することはできますか?
いずれも医師の処方が必要な医療用医薬品です。個人輸入サイトなどでの自己購入は、偽造品や品質の担保されない製品が流通しているとの注意喚起が国からも出されており、健康被害のリスクがあります。必ず医療機関を通してください。
ウゴービやリベルサスとは何が違うのですか?
ウゴービはセマグルチドを成分とし、日本で肥満症の治療薬として承認されている注射薬です(処方には診断基準などの要件があります)。リベルサスは同じセマグルチドの飲み薬で、国内では2型糖尿病の治療薬として承認されています。取扱いは医療機関により異なりますので、診察時にご確認ください。
ご検討の前に必ずお読みください
- マンジャロ(チルゼパチド)・オゼンピック(セマグルチド)は、国内ではいずれも2型糖尿病の治療薬として承認されている医薬品です。体重管理を目的とした使用は、承認された効能・効果ではない適応外使用にあたります。
- 体重管理目的の処方は自由診療(保険適用外)で、全額自己負担となります。
- 当院では国内正規流通品を、提携薬局を通じてお届けします。
- 吐き気・便秘・下痢などの消化器症状のほか、まれに急性膵炎・胆のう関連症状などの重大な副作用のリスクがあります。体調に異変を感じた場合は速やかにご相談ください。
- 効果・副作用の出方には個人差があり、結果を保証するものではありません。食事・運動などの生活習慣との併用が前提です。
- 本記事で紹介した臨床試験は海外で実施されたもので、対象者の条件も限られています。結果がそのまますべての方に当てはまるものではありません。
- 諸外国では、体重管理を目的とした同成分(チルゼパチド・セマグルチド)の医薬品が承認されています。
- オンライン診療の結果、医師が適切でないと判断した場合は処方できないことがあります。
あわせて読みたい
どちらが合うかは、医師と一緒に考えましょう
薬の違いを知ることは大切ですが、最後の判断はご自身の体質と生活に合わせて行うものです。オンライン診療なら、移動の負担なく医師にご相談いただけます。無理な勧誘はいたしません。選択肢の一つとしてご検討ください。
参考文献
- Aronne LJ, Horn DB, le Roux CW, et al. Tirzepatide as Compared with Semaglutide for the Treatment of Obesity (SURMOUNT-5). N Engl J Med. 2025;393(1):26-36.(PubMed)
- Kadowaki T, Isendahl J, Khalid U, et al. Efficacy and safety of once-weekly tirzepatide in Japanese patients with obesity disease (SURMOUNT-J). Lancet Diabetes Endocrinol. 2025;13(5):384-396.(PubMed)
- マンジャロ皮下注アテオス 添付文書(日本イーライリリー株式会社)/PMDA 医療用医薬品 情報検索
- オゼンピック皮下注 添付文書(ノボ ノルディスク ファーマ株式会社)/PMDA 医療用医薬品 情報検索

