この記事の要点(30秒でわかる)
- 日本ではBMIが25以上を「肥満」としています。世界の基準(30以上)より低めです
- 「肥満」と「肥満症」は別のことばです。肥満は状態、肥満症は治療が必要な病気です
- 肥満症と診断されるには、BMI25以上に加えて、決められた11の病気のどれかがあることなどが必要です
- BMIが25以上でも、肥満症ではない方はたくさんいます。その場合、保険で治療は受けられません
- 肥満症と診断された方の減量の目標は「今の体重の3%」。70kgなら約2kgです
「自分は肥満症なんだろうか」「BMIがいくつなら病気なの?」————ここでは、日本肥満学会が決めている基準をもとに、ご自身が当てはまるかを確認できるようにご説明します。むずかしい言葉は使いません。
まずBMIを出してみてください
BMIは、体重と身長から出す数字です。計算はかんたんです。
BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)
身長はセンチではなくメートルで入れます。160cmなら1.6です。
たとえば身長160cm・体重65kgの方なら、65 ÷ 1.6 ÷ 1.6 = 約25.4 になります。
下の欄に身長と体重を入れると、その場で計算できます。
ご自身で計算したい方や、身長ごとの目安をまとめて見たい方は、下の表をご覧ください。
| 身長 | BMI25 「肥満」から | BMI30 | BMI35 「高度肥満」から |
|---|---|---|---|
| 148cm | 54.8kg | 65.7kg | 76.7kg |
| 151cm | 57.0kg | 68.4kg | 79.8kg |
| 154cm | 59.3kg | 71.1kg | 83.0kg |
| 157cm | 61.6kg | 73.9kg | 86.3kg |
| 160cm | 64.0kg | 76.8kg | 89.6kg |
| 163cm | 66.4kg | 79.7kg | 93.0kg |
| 166cm | 68.9kg | 82.7kg | 96.4kg |
| 169cm | 71.4kg | 85.7kg | 100.0kg |
| 172cm | 74.0kg | 88.8kg | 103.5kg |
| 175cm | 76.6kg | 91.9kg | 107.2kg |
| 178cm | 79.2kg | 95.1kg | 110.9kg |
日本ではBMI18.5未満が「低体重」、18.5以上25未満が「普通体重」、25以上が「肥満」、35以上が「高度肥満」と決められています。
※参考:一般社団法人 日本肥満学会「あなたの肥満、治療が必要な『肥満症』かも!?」
世界保健機関(WHO)の基準ではBMI30以上が「肥満」です。日本の25以上という基準は、それより低めに設定されています。日本人は同じBMIでも生活習慣病になりやすいことが分かっているためです。
区分の全体像は下の図のとおりです。

「肥満」と「肥満症」はちがいます
ここがいちばん大事なところです。
- 肥満= BMIが25以上の状態。それ自体は病気の名前ではありません
- 肥満症= 肥満に加えて、治療が必要な健康の問題がある「病気」
つまりBMIが25を超えていても、それだけでは「肥満症」ではありません。健康診断で「肥満」と言われた方でも、肥満症とは限らないということです。
肥満症と診断される条件
BMIが25以上の方のうち、次のどちらかに当てはまる場合に「肥満症」と診断されます。
- 決められた11の病気のうち、どれかがある(次でご説明します)
- おなかの内側に脂肪がたまっていることが、検査ではっきりした
診断に必要とされる11の病気
- 血糖に関する問題(2型糖尿病、その手前の状態など)
- 脂質異常症(コレステロールや中性脂肪の異常)
- 高血圧
- 高尿酸血症・痛風
- 心臓の血管の病気(冠動脈疾患)
- 脳梗塞・一過性脳虚血発作
- お酒が原因ではない脂肪肝
- 月経の異常・女性の不妊
- 寝ているときに呼吸が止まる病気(睡眠時無呼吸症候群など)
- 関節や背骨の病気(膝・股関節・手指の変形性関節症、変形性脊椎症)
- 肥満に関係する腎臓の病気
※参考:萩原謙、山下裕玄「肥満症診療ガイドライン2022の要旨と概説」日大医誌 2023;82(5):255-261(日本肥満学会『肥満症診療ガイドライン2022』にもとづく解説)
なお、がん・胆石・血栓・ぜんそく・皮膚の病気・男性の不妊・逆流性食道炎・こころの病気なども肥満と関係することが知られていますが、これらは肥満症の診断そのものには使われません。
おなか周りで見る方法
おなかの内側にたまる脂肪(内臓脂肪)が多いかどうかは、まずおへその高さのおなか周りではかります。
- 男性:85cm以上
- 女性:90cm以上
これを超えると内臓脂肪が多い可能性があります。ただしこれはあくまで目安で、最終的にはCT検査で確かめます。おなか周りだけで肥満症と決まるわけではありません。
減らす目標は「3%」で十分です
意外に思われるかもしれませんが、肥満症と診断された方の減量目標は「今の体重の3%以上」と決められています。
| 今の体重 | 3%は | 減ったあと |
|---|---|---|
| 60kg | 約1.8kg | 約58.2kg |
| 70kg | 約2.1kg | 約67.9kg |
| 80kg | 約2.4kg | 約77.6kg |
| 90kg | 約2.7kg | 約87.3kg |
| 100kg | 約3.0kg | 約97.0kg |
この数字には理由があります。健康診断のあとの保健指導で、6か月かけて3%減らしただけでも、血糖・血圧・脂質・尿酸・肝臓の数値がはっきり良くなったという結果が出たためです。それまでは5%が目標でしたが、3%に見直されました。
BMIが35以上の「高度肥満症」の方では、目標は5〜10%とされています。
「20kg減らさないと意味がない」ということはありません。体重を大きく落とすことより、まず3%を減らして維持するほうが、体にとっては意味があります。目標を高く置きすぎると続かなくなります。
日本人はどのくらいいるのか
2019年の国民健康・栄養調査では、成人男性の約30%、成人女性の約20%がBMI25以上の「肥満」でした。男性は40歳代で39.7%、50歳代で39.2%と、とくに高くなっています。
珍しいことではありません。ただし、そのすべてが「肥満症」というわけでもありません。
「肥満症ではなかった」場合はどうすれば
BMIが25を超えていても、11の病気がなく、内臓脂肪もはっきりしなければ、肥満症とは診断されません。その場合、体重を減らす治療に保険は使えません。
この状態は「悪いこと」ではありません。まだ健康の問題が出ていない、ということです。まずは食事と運動の見直しから始めるのが基本になります。
そのうえで薬という選択肢を考える場合、保険の使えない自由診療という方法があります。当院のマンジャロもこれにあたります。ただし本来の使い方とは違う使い方(適応外使用)で、全額自己負担です。詳しくはゼップバウンドとマンジャロの違いをご覧ください。
よくあるご質問
BMIが25を超えていたら肥満症ですか?
いいえ。BMI25以上は「肥満」という状態で、それだけでは肥満症ではありません。肥満症と診断されるには、決められた11の病気のどれかがあるか、検査で内臓脂肪がたまっていることがはっきりする必要があります。
自分で肥満症かどうか判断できますか?
できません。11の病気があるかどうかは、血液検査や画像の検査で確かめる必要があります。この記事は「当てはまる可能性があるか」を知るための目安です。診断は医療機関で受けてください。
日本のBMI25という基準は厳しすぎませんか?
世界保健機関の基準は30以上ですが、日本人は同じBMIでも生活習慣病になりやすいことが分かっているため、低めに設定されています。体格の違いをふまえた基準です。
3%減らすだけで本当に意味がありますか?
はい。健康診断後の保健指導で6か月かけて3%減らした方たちで、血糖・血圧・脂質・尿酸・肝臓の数値がはっきり良くなったという結果があります。これを受けて、肥満症の減量目標は5%から3%に見直されました。
筋肉が多くてもBMIは高く出ますか?
出ます。BMIは体重と身長だけの計算なので、筋肉が多い方も数字は高くなります。そのため、おなか周りの測定や検査とあわせて判断します。BMIだけで決めるものではありません。
肥満症なら保険で薬を使えますか?
条件を満たせば使える薬があります。ただし、BMIや合併している病気の内容、食事・運動をどのくらい続けたか、通う医療機関の体制など、細かい条件が決められています。詳しくは「ゼップバウンドとマンジャロの違い」をご覧ください。
ご検討の前に必ずお読みください
- 本ページは、ご自身の状態を知るための一般的な情報です。診断ではありません。肥満症かどうかは、検査をふまえて医師が判断します。
- マンジャロ(チルゼパチド)は、国内では2型糖尿病の治療薬として承認されている医薬品です。体重管理を目的とした使用は、承認された効能・効果ではない適応外使用にあたります。
- 同じ成分(チルゼパチド)を使った肥満症の薬「ゼップバウンド」が国内で承認されており、条件を満たす場合は保険が使えます。当てはまりそうな方は、そちらの医療機関へのご相談もご検討ください。
- 体重管理目的でのマンジャロの処方は自由診療(保険適用外)で、全額自己負担となります。
- 当院では国内正規流通品を、提携薬局を通じてお届けします。
- 吐き気・便秘・下痢などのお腹の症状のほか、まれに急性膵炎・胆のうの病気などの重い副作用が起きることがあります。体調に変化を感じた場合はすぐにご相談ください。
- 効果の出方には個人差があり、結果を約束するものではありません。食事・運動などの生活習慣の見直しと一緒に行うことが前提です。
- オンライン診療の結果、医師が適切でないと判断した場合はお薬をお出しできないことがあります。
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当てはまるか分からないときも、ご相談ください
「BMIは超えているけれど、病気はないと思う」————そういう方がいちばん多いと思います。まずは健康診断の結果をお手元にご用意ください。血糖・血圧・コレステロール・肝臓の数値を見れば、当てはまりそうかどうかが見えてきます。保険で治療を受けたほうがよい方には、そのようにお伝えします。無理な勧誘はいたしません。

